ちょっと前に特許戦略の事でインテルが気になったのですが、その続きとなる論文を「ものづくり経営研究センター」というところにはっけんしたので、よみました。まじおもしろいです。
独禁法緩和と知的財産の強化をたんとして、コンソーシアムを使った新しい標準化(コンセンサススタンダード)のしくみをとてもうまく使って、「プラットフォームビジネス」をやっている企業の紹介がされています。
製品アーキテクチャの全体を知っていて、バリューチェーンのなかでどこおさえたら勝手にお金が入ってくる仕組みをつくれるかわかっている。自分たちがもってる技術のどの部分をだして、どこをださないのか。
このまえ松ちゃんが「お笑いは七並べ」と言っていたのですが、いわゆるMOTにもそういう要素があるなーと感じました。
あとになれば、すごいインサイトがあった!という話なのですが、そのときはどういうプロセスででてきたのかというのも、気になります。
以下はメモです。
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コンセンサス標準化はプラットフォームビジネスに不可欠のツールとなっている、とのこと。日本のものづくりが米国を凌駕していた頃、米国とは違って「独禁法が緩やかでコンソーシアム形成の弊害となっていない日本」というのが発見され、アメリカもそれに習った。最初の目的は、要素技術の共同開発だった。しかし結果として革命的だったのは「コンセンサス標準」をつくりだすことができるようになったことだった。
産業標準には3つある
●市場取引を通じて標準が形成されるデファクト標準
●政府が特別に認めた標準化団体によって規定されるデジュリ標準
●コンソーシアムでの標準化(←独禁法緩和によって可能となった。プラットフォームビジネスを行う上では必須の戦略ツール)
新しい独禁法の運用では「どのような企業でもコンソーシアムに参加できる、成果物はすべての企業に公開しなければならない」とするなら、それはカルテルではないからOKとなった。→コンソーシアム標準化の登場
コンセンサス標準は非情に柔軟性が高い。例えば、柔軟に連合するメンバーを決めることが出来る技術の市場導入前に標準規格を策定する事も出来るし、従来市場取引されていなかった領域を標準化対象領域にして市場取引可能にする事も出来る。→先の先の絵がみえていれば、気付いていない他の企業を巻き込んで、自分が有利な方向にもっていける
「規格情報を誰に対しても公開しなくてはいけない」や「コンソーシアムへの参加を断ることが出来ない」などの制限
→企業の競争戦略とは関係の無いものとして扱われてきた(とりわけ日本企業)コンセンサス標準は極めて実は戦略的な道具であり、産業進化の方向を決めたり、自社に有利な産業構造を創り出したりする事に利用されているそういう研究成果が近年たくさんでてきている。
参加企業間でコンセンサス(合意)さえ形成できれば、技術が完成していなくても(技術が市場導入される前ですら)、当該領域を標準化対象領域とすることが出来る。 参加企業間で合意できるように、初期メンバー(コンソーシアム設立メンバー)を恣意的に決めるのである。
→先の先の絵がみえていれば、気付いていない他の企業を巻き込んで、自分が有利な方向にもっていける。
インテルの例1992 年に同社が初めてコンソーシアムを主導して、パソコンの標準規格(PCI バス)を策定した
→その後は知っての通り、PCは完全モジュール化した。これはちょおおおお先まで見通した作戦だったのか…
いっぽう、プラットフォーム(CPU とチップセット)内部のインターフェースに関しては、独自インターフェースであり、全く標準規格化されていない。モジュール化で価格下落のなかにあってもCPUの価格だけは下落しない。高くても皆それを使わざるを得ないため、常に粗利50%以上。
オープン化した部分は、技術伝播が一瞬で行われ、モジュール化し、コストが激烈に下がる:新興国メーカが大得意。
オープン化しない部分を担うインテル:オープン化している部分を担う企業もそこは絶対使わないといけないから、裾野が広がれば広がるほど、ただそれだけでもうかる。
製品のアーキテクチャ全体を知っている必要がある:インテルのHAL研究所は従来の基礎研究やってるところではなく「アンディ・グローブのおもちゃ箱」と言われたような場所。そこでパソコン全体のことをいろいろやっているなかで、プラットフォームビジネスのアイデアが出てきたらしい。それは財務出身者のオッティリーニというひとが考えたらしい。
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旧来の製造業と、プラットフォームビジネスしようとしている企業の、技術伝播のさせかたの違いと戦略的な考え方:あとで纏める
以上です