2011-05-17

三菱ケミカルのプラットフォーム戦略について 論文をよんだ

モノづくり経営研究科の製品アーキテクチャに関する論文のうち、あまり読んでいなかった部分を再読しました。

インテルやアップルが有名ですが、日本の企業はないのかなと思い探していました。
「三菱ケミカル」の部分が読みたくて、15ページから再読しました。
以前ブログで知財戦略・プラットフォーム戦略のことを紹介したのですが、それと同じ系統のものです。
http://merc.e.u-tokyo.ac.jp/mmrc/dp/pdf/MMRC205_2008.pdf

自社がもっているモノでこれがどうやったら実現できるかと考えることも仕事に関係しているから楽しいです。
すごい大きなケーススタディというか宿題というか、やってる気分です。
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知財で固められた、すり合わせ技術の塊であるブラックボックスを確立(「記録材料である色素に関する技術」と「成形に関する技術」)。
これは、後工程の基盤成形機ベンダ・色素や保護膜コーティングの設備ベンダ、検査装置ベンダ…が必ず使わなければいけない。
値段が高く設定されていても、買わないと絶対生産できない。

後工程の設備系は技術がオープンになっている。そのため柔軟な税制度設計で参入を容易にした新興国(台湾)がほとんどのシェアを押さえてしまっている状況。
パソコンと全く同じ状況で、どんどんトータルのコストは下がる。それについていけない会社は残れない。
しかし、「いい所」を押さえている三菱ケミカルは、生産が拡大すればするほど、高い利益率を保ったままを売ることができる。
設備が技術のオープン化でコスト下がりまくって大量生産が進みまくっても、全く関係なく、むしろそのおかげで、寝ていても金が儲かる仕組み。

筆者が強調する、「知財を国際規格の中にどのように滑りこませるか、その決断と実行をする領域は、イチ技術者の領域じゃない。それこそが、経営の領域なのだ」
てのが、まじそのとおりだと思います。フツーに「技術を高める」とか、「投資する」とか、そういうフツーの思考の延長線上からは出てこない動き。
「飛び」って言えばいいか、それを見たとき、経営にアート性を感じます。


以上です