2010-08-10

KYOTO CAMP 1:ハーバードビジネスレビューをよんでみた

Harvard Business Review - "Choosing Strategies for Change" by John P. Kotter and Leonald A. Schlesingerをよんだ。

●1979に出た論文だが、その時から今でも変わっていないことは「いつも変わらないといけないということ」という注釈からスタートする。

●ある程度、現状認識とプランの方向性が見えている段階の話で、実行にあたって抵抗者がでてくるが、どうすんの?ということについて書かれている論文と理解した。

●「抵抗の原因の型」「それへの対処」「改革すすめるときにどうやるかと、すすめるときに変数として影響してくる事項」をあげて、戦略の失敗を戦術で補うのはむりだから、最初にちゃんと練り上げようという結び

【抵抗の原因の型】
1.個人の目先の利害が全体の利害に一致していない場合、その人は政治的行動に出ることがある
2.たんに利害だけで抵抗するわけではない。変えようとする方と、変えられる方に信頼関係がない場合、改革の意味を悪く取られ、抵抗勢力となる
3.変える方の「現状認識から変化への見積り」と変えられる方のそれがけっこう違う、ということを見逃してしまう。だから「現状はこう」「だからこう変える」というシナリオが現場から見て的外れになり、結果として抵抗をうむ
4.変化を受け入れられないことがある:頭では分かっていても感情的に無理。機構改革の結果重要なポジションに就いて、やらなきゃって意識はあるんだけど、結果として大変になるし…内心いやだーとおもっていると、無意識のうちに抵抗行動をとりはじめる

【まとめ】
●どんな抵抗の型なのかをきちんと見積もることができたら、処方箋もそれに合ったものにできる

【抵抗者に対処するには】
「説明する」:
両者に信頼関係がないと受け入れられない。聞いた人が内容を信じていない。とりわけ多くの人が対象となる場合。これを見過ごしてしまいがち。
「プラン作りに巻き込む」:
抵抗者となりそうな人をあらかじめ巻き込んでプランの策定からやるってのは良いが、いろんな人が入ってくるので時間がかかる。納期に対して間に合うのかという問題と、じっくり検討しないと穴だらけのシナリオになってしまうのではないかというジレンマ
「フォローアップする(教育とかファシリテーション)」:
新しい環境にアジャストできない人の相談員をもうけた。新手法の定着のため、教育、研修を充実させた…などの例を紹介。しかし時間をかけて、お金をかけて、それでも定着しないかもしれない、というのは基本的にある。自分で色々できるタフな経営者ほど、抵抗の根にあるおそれ、心配といった普通の感情を見逃してしまう。
「インセンティブを提示する」:
給料上げるとか。別に一緒になりたくはないが、その抵抗者の是認を得るために、彼らを重要なポジションにつけたり、金を与えたりする。
「強制する」:
スピードが要求されるとき、これを使わざるを得ない。抵抗を覚悟。

【まとめ】
●うえのやりかたどれかいっこではなくて、慎重にやるべき時によいくみあわせで用いる。
●バラバラでシナリオ感がなく、あれもこれもの欲張りプランはだめ

【さいごに振り返り:改革の時どんなやりかたでやる?】
①まず把握すること
●抵抗者はどこにどれだけいるか
●推進者と抵抗者の力関係は
●推進者は改革に必要な情報を十分にもっているのか
●Is the stakes low or high?

②そのうえで
●シナリオが論理一貫性あるものになってること
●少人数でやること
●抵抗者を最小化する努力をするより、抵抗者多くてものりこえるやりかたをすること

【まとめ】
②で書いた方に走り過ぎると失敗するが、でもそれと反対にやっていたら、ゴールは来ない

【最後のまとめ】
●戦略の失敗を戦術で補うのはむりだから、最初にちゃんと練り上げよう

【考えたこと】
集団の「意識」「士気」という一見とらえどころのない事象を、抵抗の原因という視点で類型化し、それへの対応という形で論理的に分析している。現実で似たような状況になったとき、いろいろ考えて対処をしているが、上記のような大きなフレームを頭に入れてやってるのとそうでないのでは、違うと思った。とりわけ、私個人の説得力という点で、知識として蓄積してあることは重要とおもった。

以上です

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