知財立国のジレンマとは「研究開発に巨額投資し、大量の特許を取得しているが、結果としてイノベーションに結びついていないこと」
なぜこういうことが起きるのかの説明、また、そういう状況を価値につなげた例を紹介している論文。そしてそこには新しい知財マネジメントが存在していることを述べている論文。
少し前に、兵庫県立大の立本准教授の講演を聞き、プラットフォーム戦略て何?ということに興味をもちました。最近になってまた調べていたら、知的資産経営総括寄付講座という団体が東大の中にあり、ディスカッションペーパーもあったのでひとつ読んでみましたが、これ、おもしろかった!
モジュラー型・インテグラル型ってのはよく言われますが、「オープン化されてしまう、すると参入障壁も下がり、コストもどんどん下がってしまう」という状況を逆に価値につなげる知財マネジメントを編み出したインテルのオッティリーニは天才だと思いました。
もうすこしインテルとGSM規格のケーススタディをやってみたいです。
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製品アーキテクチャにはインテグラル型とモジュラー型がある。
モジュラー型が進行した結果、知財立国のジレンマが登場することになった
(例:エレクトロニクス業界)
インテグラル型においてインテグラルされる技術体系は、キャッチアップしてくる企業にとって非常に高い参入障壁となっていた。
インテグラル型製品アーキテクチャでは、モジュラー型の入り込むすきがないから、特許の質と量を誇った企業が勝ち続ける。
モジュラー型:国際標準化される→一瞬のうちに技術伝播→製造コストとか安いから日本企業勝てない
特許のクロスライセンス・パテントプール:コスト安くなる、業界みんなで参入障壁つくれる
部品や材料:知財を独占しやすい
DVDのようなもの:数千にわたる特許で構成されるので、位置企業で全てを独占するのはむり
→クロスライセンス必要→国際標準化される→モジュラー型となる→製品設計・調達・生技・生産コストが激減する→参入障壁低くなる→いろんな企業が入り乱れる→コスト高いと勝てない。
特許をもっていなくてもお金を払えば活用できる。ちょっとお金はかかるけど、それでも他のところのコスト(売上高間接費)が低いから、利益は出る。特許をたくさん持っていても、持ってない会社とあまりトータルコストが変わらない。もしくは負けてしまう状況:知財立国のジレンマ
特許にお金を払わないといけない新興国の新規参入企業でも、知財コストの総額を工場出荷価格を10%以下におさえることができれば、他のところのコストが低いからトータルコストで優位に立てるらしい。
売上高間接費を小さくする仕組み
①ボリュームゾーンに集中②ユーザによって品質を変える③基礎研究をしない
資金は研究でなく④SCM確立⑤ブランド力(マーケティング・デザイン・広告)による価格維持
につかう
コモディティー化するタイミングで市場参入する(先駆者が有利だった事実はない)(持続的イノベーションについてのクリステンセンの指摘と同じ)
サムスンLGは国際標準化された瞬間に市場参入できるぐらいの技術力は持った。てことで日本企業が製品イノベーションや国際標準化を主導したところで、とくに意味はない。すぐに成績では抜かれてしまう。
オープンな国際企業間分業、そのサプライチェーンの特定セグメントで知財(技術の改版権)を独占する。その部分の技術は完全ブラックボックス化して公開しない。ほかは徹底的にオープンにする。そのチェーンを利用するやつはぜったいその独占された知財に対してお金を払わないといけない。独占した部分を絶対守るために凄いお金かける(訴訟・契約など)→絶対儲かる仕組み
例:マイクロソフト インテル シスコ 携帯GSM規格
失敗例:IBM
デファクトスタンダードではなく、「コンセンサススタンダード」ていうやつをつかって、規格の内容をすべてオープンにしてしまう。
オープン標準化の世界では付加価値が基幹部品に集中するという研究結果
(基幹部品のコストをさげるために積極的に外部に作らせるというようなことはしていないか)
独占したセグメントには、クロスライセンスを絶対採用しない
オープン化モジュラー型経営環境の中に、局所的にクローズドインテグラルが埋め込まれている
リバースエンジニアリングをみとめない?について調べる
「プラットフォーム戦略」てのとも多分に関係している
インテルとGSM規格のケーススタディは、別でまとめる
とりあえず、インテルでこの天才的な仕組を考え出したのはオッティリーニていう人(アンディーグローブが社長だったときに財務のトップだった人?)
どうやって、その仕組みを他の会社に最初に納得させるのか?が疑問
→みんな頭わるくて分かっていない段階で、先に気づいて、だまして納得させる感じ?
(たとえばGSM規格をどうして中国はうけいれたのか?)
以上です
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